実は高齢者のICT利用が進んでいるという話に期待したい件

少し前までは「高齢者はガラケー」「パソコンは苦手」というイメージが当たり前でしたが、実はスマホの普及に伴って高齢者のネット利用もどんどん進んでいます。

こちらは、「みんなの介護」というWEBセミナーサイトの記事ですが、

2021年の『高齢社会白書』の調査によると、60歳以上の高齢者がスマートフォンを利用している割合は日本44.5%。アメリカ62.6%、ドイツ65.2%、スウェーデン58.8%と比較すると、まだ普及率は低いように思われますが、割合は年々増加傾向にあります。

「みんなの介護」https://www.minnanokaigo.com/news/kaigogaku/no1045/ より引用

特に増えたのは、ネットショッピングの利用です。携帯やスマートフォンをどんな目的で利用しているのかを尋ねたところ、「インターネットで情報を集めたり、ショッピングをする」が2020年では31.7%となり、2015年の16.5%から倍増しています。

「みんなの介護」https://www.minnanokaigo.com/news/kaigogaku/no1045/ より引用

ということで、確実に増えていますし、たぶん皆さんの周りでもLINEを使いこなしたり、SNSでやり取りしているおじいちゃんおばあちゃんもたくさんいらして、実感もあるのではないかと思います。

ICTを苦手に感じない、あるいは生活の中に取り入れる高齢者が増えるのは間違いないでしょう。
実は私もそうですが、例えば離れて暮らしている場合に両親と連絡を取り合ったり、写真やビデオを見せたりするためにスマホ、タブレット、ノートパソコンを送って使えるようにしています。最初はやはり苦労している部分もありましたが、必要に応じて使えるところだけ使い徐々に慣れてくれば段々に使いこなしていきます。小さいお孫さんがいれば尚更モチベーションもあがるでしょう。

また、少し詳しい方でしたらセンサーやアレクサやGoogle Homeなど音声でコントロールできるスマート家電を導入して不便さを解消している方もおられると思います。

先の記事ではICTを積極的に活用する高齢者が増えることで、健康寿命が延びるということと、そうした元気なアクティブシニアが介護人材になってくれるという期待について書かれていますが、私は少し別の視点で期待したいことがあります。

1つは家族とのやり取りにもICTを活用できること。
施設に入居されている利用者さんのご家族とやり取りする場合、ご家族もある程度の年齢の場合、今まではどうしても電話やFAX、郵便でのやり取りになってしまうケースが多く、人数が多ければそれだけの手間が掛かってしまいました。それが、メール、メッセンジャー、オンラインでのお話で済むようになれば大きな時間の削減になります。
今後の感染症の行方はまだ分かりませんが、面会の一部もオンラインも可能になるでしょう。今までの「ご家族も高齢だからそういうのが苦手で・・・」というのは忘れて、まずは一度スマホでの連絡方法などを聞いてみてはいかがでしょうか。意外と苦手なのは職員さんの方かもしれません。

もう1つは利用者さんもICTに抵抗感が減ってくるのではないか、ということ。
今後、人材不足を補うためのICTの導入は必須と言えますが、利用者さんにも抵抗感がなければ積極的に活用して自立支援、重度化防止の施策を導入してみてはいかがでしょう。もちろん要介護度にもよりますが、自分の状態が客観的に見える化すれば、頑張る意欲もまた湧いてくる方もいると思います。レクやリハビリ、機能訓練などでも施設間や遠隔地をオンラインでつないで今まで出来なかった楽しみ方も可能になってきます。

その為にはやはりある程度職員さんにもICTの知識が求められますし、施設全体でしっかり取り組んでいる施設の評価が高くなってくるでしょう。もはや介護職員はICTが苦手と言って済まされる時代ではなくなってきます。

施設全体でしっかりICTに取り組み、自立支援、重度化防止の成果を上げる。その為の教育、研修をしっかり行い、職員さんから利用者さんにもしっかり使い方や意義、効果の説明が出来る。そしてITツールを使えば職員さんの実績はしっかり見えるようになりますから、頑張っている職員さんには是非高い評価を上げるような法人さんが増えてくれたら介護業界で働きたい人も増えるんじゃないかあ、なんて期待もしています。