すはま会施設長
並木雅彦インタビュー

介護施設の赤字回復のためには縦割りの部署構造を破壊する必要があった
赤字続きだった特養をV字回復させたカリスマ並木施設長に施設運営の極意と今回のサービスについての思いをお伺いしました。

管理栄養士から施設長になった

Q:まず並木施設長について教えて頂いてもよろしいですか?

はい。私は元々管理栄養士としてすはま会で働いていて、8年前に成田の特養“蓬莱の杜”の施設長に就任し、現在も施設長として継続している状態です。

Q:管理栄養士から施設長というのは割と珍しいご経歴ではないですか?

そうですね。もちろん最初は現場のことを知らないだろうと思われていたと思います。

Q:ただ、今施設にお伺いするとみなさんの信頼を感じるんですが、どうやってその状態までもっていったのですか?

徹底的に現場に出ました。それこそ職員が嫌がるくらい(笑)。

Q:それは職員さんとしては気が重そうですね。

そうですね。最初は自分たちがやっていないのがばれてしまうから嫌がってましたね。まあ今だから言えますけど、そのころは本当に仕事に行くのがつらかったですよ(笑)

Q:そんな状況だったのが今の状態に変わって来たなと感じたのはいつぐらいからですか?

平成28年の8月31日です。私が組織の再生のために行ったことは2つだけでマイナスを無くすことと、部署の壁をぶち壊す、この2点だけです。

断固たる決意で“負”と向き合い続けた

Q:それぞれ具体的にお伺いしたいのですが、まずマイナスを無くすとは具体的にどういったことを進めていったのですか?

具体的には赤字の事業体を特養に変えたことと、足を引っ張る要因を一つ一つ取り除いていったことですかね。

Q:足を引っ張る要因のところを詳しく聞いてもいいですか?

そこはほとんど言えない話だからね~(笑) お酒飲まないと話せない話ばっかりだからね(笑)

Q:なるほど(笑) では是非この後お願いします(笑) あと、もしこのインタビュー読んで興味持った方がいても直接並木さんと飲みに行ければ話を聞けると考えてもよいですか?

まあそうですね(笑) ただポイントとしてはマイナスの要因となることは一切妥協しなかったことは大きいかもしれないですね。一つでも、一人でもマイナスの要素があると頑張ろうとしている人の足を引っ張ることになるのでそこは妥協せず追求し続けました。なので、最初からやっていることは変わらないのですが、5年たってようやくマイナスが無くなったと感じた瞬間でした。マイナスの事業所を特養に変えてここからだと感じたのが平成28年の8月31日でした。うちでは食事作ってから掃除もするからね。

Q:それでは次に部署の壁をぶち壊すについてお伺いしていきたいのですが、具体的にどういったことを進めていったのでしょうか。

とにかく自分の部署以外の仕事をさせましたね。まず、部屋を支援横断にしましたし、バックオフィスの人に現場に出てもらったり、あとは給食の人に居室清掃してもらったりですね。

Q:当初は結構反発がありそうですよね。

もちろん最初はすごかったですよ。「なんで私がこの仕事をしなきゃいけないんだ。私はこの支援で入ったはずなのに。。」と。ただそこが問題で、どうしても自分の担当から出ないようにするというか、自分の業務だけやって他のことは知らないってなってしまいますし、逆に自分はこんなに苦労しているのに、なんで他の部署はあんなに楽してるんだって思ってしまうんですよね。例えば、いつも定時で帰って楽ばっかりしてるとかですね。

Q:そんな状態ですと中々嫌がる人が多そうですが、どうやって解決していったのでしょうか。

まあ、とにかく私が一番現場に出てましたね。上が口で指示しているだけだとそれは下の人たちも聞いてくれるわけもないですが、とにかく私が現場に出ていたら自然と下もついてきてくれました。まあ、ただそうは言っても、今のメンバーがついてきてくれたからなので、そこはメンバーに恵まれたというのも大きいと思っています。

Q:なるほど。そういった恵まれたメンバーと部署横断の業務を推進していってどんなふうに変わっていったのですか?

相手の苦労が分かるようになっていきました。私の知らないところでこんな大変な仕事していたんだ等相手のことが理解できるようになってきました。そうするとコミュニケーションも活発になってきて、今までのギスギスした雰囲気が無くなっていった気がします。

コミュニケーションがカギ

Q:そこが今回のシステムにも反映されているポイントになりますか?

そうですね。今回のシステムではコミュニケーション機能が充実しているので、そこは施設運営の面でプラスに働くと思います。もちろんシステム導入すればすぐ解決と行くはずもなく、施設長自ら推進していかなければならないですが、システムを導入することでサポートしてくれると思います。私が何年間もかかってやってきたことがより早く進められるなら安い投資だなと思います。

今後は組織一丸となって利用者のためのサービスを提供したい

Q:最後に今後の展望についてお聞かせ願えますか?

私たちは今まで縦割りの部署ごとの組織の壁をぶち壊す、多職種連携を推進してきましたが、ようやく組織の壁が取っ払えて来たと思っています。次は組織一丸となって本当の意味で利用者のことを思ったサービスを提供していく段階だと思っています。それが法人の理念である利用者の尊厳あるいのちとくらしを守るにつながると思っています。

そして最終的には自分の家族を預けたいと思ってもらえるような施設を作っていきたいと思っています。こうした流れが最初は1施設、だと思いますが、それが成田に広がって、千葉に広がって、・・・とどんどん広まっていけばいいなと思っています。

すはま会施設長 並木雅彦