「科学的な介護」のホントのトコロについて考えてみた

「科学的介護情報システム」LIFEが4月から始まって来週には早くも2回目のデータ提出期限が来ますが、やってみた結果色々な課題や疑問等、様々な感想が出て来ていることかと思います。実際にはこれから試行錯誤しながら最適な方法を模索していくことになると思いますが、今回は「科学的介護」ってどういうこと?という疑問について考えてみたいと思います。

皆さんは「科学的」という言葉にどんなイメージを持ちますか?
科学的な根拠がある、科学的に証明されている、と言われると何かもっともらしい、いかにも唯一無二の高度な正解を出してくれるようなイメージを持つでしょうか?

そのイメージで、「科学的な介護」の実現とはもしかするとLIFEにデータを出すと最適な介護の方法を提示してくれて、間違いのない介護が実現すると想像されている方もいるかもしれませんね。
確かにLIFEは最終的にはそういう世界を目指しているかもしれませんが、残念ながらそんなに都合の良いものではありません。

むしろ、科学的という言葉を鵜呑みにしてしまって、データで示したことが正解だからそれだけやっていれば良い、という考え方になるのは危険だなと思っています。
なぜなら、科学的=正しさを保証する、というものではないからです。
ましてや、ITツールを使えば科学的というものでもありません。

これは「科学的」ぽさを利用して商品を売ろうとする「疑似科学」に引っ掛かる人も結構いるので介護に限らず注意が必要なところです。
気になる人は「疑似科学」で検索してみてください。テレビで宣伝してるアレもコレも根拠は?!と驚かれるかもしれません。

「科学的」とは

では改めて「科学的」とはどういうことでしょうか。
「科学的とは」で検索してみると表現の仕方は色々ありますが、概ね以下のような説明があります。ポイントは再現性と因果関係の2つです。

1 つ目は、ある事柄について考えたり調べたりする時、その方法が同じならば、いつ・どこで・誰であったとしても、同じ答えや結果にたどり着くことです。これは再現性という性質です。
2 つ目は、原因と結果の関係がきちんとあるということです。これは因果関係という性質です。

京都大学理学研究部・理学部「科学的であるということ」 http://www.sci.kyoto-u.ac.jp/ja/academics/programs/scicom/2015/201602/04.html より引用


これを介護の現場に当てはめて考えてみると、人によって言うことが違うとか、決まりとしてやっている業務でも理由が分からず結果も曖昧、というような場面がありそうです。
それ自体は長年の経験や勘などが活かされていて全てを否定する必要はないと思いますが、やはり特定の人しか出来ないとか、惰性で無駄な業務をやっている可能性もあります。
それをしっかりデータで裏付けを取って根拠を持った介護をして行こうというのが、LIFEが目指す「科学的介護」の方向性なのでこれは良さそうです。

でもその一方で、再現性と因果関係の2つを問われたら、現場としては果たして現実的に可能だろうか?と思う方もいるのではないでしょうか?
同じやり方で利用者さんに対応しても職員によって反応が違う、原因と結果が繋がっているようには見えないというケースは特に要介護度が高くなれば日常茶飯事としてありますよね。
そんなケースでもデータをLIFEでデータを提出すれば何か裏付けが見つかるのでしょうか?

正直に言えば、見つかるかもしれないし見つからないかもしれない。有効なデータを見つかるには相当の時間とデータ量が必要になると思います。

だったらデータを取ってLIFEに送っても意味がない、と思ってしまいそうになりますが、そんな事はありません。
むしろ、だからこそデータをとり続ける必要も意味もあります。

科学的な態度

この点についてもう「科学的な」についてもう1つご紹介します。
「科学的な考え方」にも近いと思いますが、「態度」という言葉を使われています。
個人的な感覚ですが、「科学的な介護」というのは、こちらの方が現場での感覚として理解しやすいかなと思っています。

科学的な態度とは、今得られている証拠から総合して判断できる「最も有力な説明」を感情抜きに採用できる姿勢であり、「まちがっているかもしれない可能性」を常に考慮して反論を受け入れる謙虚さと、より確かな真実を追究する心です。それは世界を理解しようとする態度そのものと言えるでしょう。

秋田市立御所野学院中学校【スクールカウンセラーだより2021.4月】
「科学的態度」=世界を理解しようとする態度」 より引用 
https://www.fureai-cloud.jp/akita-gsn-c/attach/get2/253/0

これはスクールカウンセラーさんの中学校の新1年生に向けた手紙です。
少し堅い表現の部分もありますが、「世界を理解しようとする」を「利用者さんを理解しようとする」と置き換えてみたらどうでしょうか。

たぶん職員の皆さんは、利用者さんを理解するなんて当然、既にやっていること、と言われると思います。
でも、
・今得られている証拠=記録、データ から、「最も有力な説明」を感情抜きに採用できる
・「まちがっているかもしれない可能性」を常に考慮して反論を受け入れる謙虚さ
ここまでは日常生活の中でも実はなかなか難しいことです。日々の忙しい中ではなおさらでしょう。

「この利用者さんはこのままで良いのかな」
「もっといっぱい食べられる、歩ける方法はないのかな」
そんな風に目を向けていくことが「科学的な介護」の本質的な部分だと私は考えています。

そして、その結果がどうだったかを「感情抜きに」判断するには誰が見ても納得できるような数値のデータが必要です。
だからこそ、共通の指標で図れるデータを取る意味があるのです。

今日のテーマとしては「科学的な介護」とは、
「利用者さんに向き合い最善の方法を固定化せずに考え実施し続け、データを取って改善しつづけること」
とさせていただきます。

ただし、今のLIFEのサイクルではこれを実施するのに足りてないものが1つあります。
今回は長くなったので、また別の機会にお話しますのでお楽しみに。

ITサポート 星川

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