LIFEでPDCAサイクルを回すのに足りないものは?
前回の記事で、科学的な介護とは「利用者さんに向き合い最善の方法を固定化せずに考え実施し続け、データを取って改善しつづけること」としてデータでPDCAサイクルを考えることとさせていただき、そして足りていないものがあるとお伝えしました。今回はその辺りを考えて行きたいと思います。
まず前提として踏まえておく必要があるのは、今回の報酬改定で明確に打ち出されたメッセージが「自立支援」「重度化防止」であり、
科学的介護情報システムと銘打たれた「LIFE」はその方向性をしっかり進めていくためのツールです。今回の改定で、
・ADLの維持・回復などアウトカムに対しての加算がつき、今後もこの方向性は広がる
・体制に対しての加算は基本報酬に組み込まれ、実施しない場合は減算
として、いわゆる今までのお世話型介護から自立支援介護へと舵が切られた訳ですが、この場合のPDCAは今までのサイクルとは少し変わってくると思っています。
アウトカムを出すことを1つの目標とすると、理想的には下のように右肩あがりのサイクルになるはずです。(あくまでイメージですが)
最初に立てた目標をモニタリングで達成したら、再度アセスメントを行い次の目標へ向かってプランを修正してまた実施する、
結果として、利用者さんの状態は赤い線のように回復してゆくことを目指しています。
というか実は今までもそうだったし、そのように実行されている事業所も一杯あると思いますが、
一方でみんな同じようなケアプラン、結果はどうあれサービスを実施したかどうかの記録をとっているだけで
同じサイクルをぐるぐる回っているだけ、という事業所もあるのではないでしょうか。
実際のところ、終の住処として最期の時まで心穏やかに過ごさせてあげる為に頑張って来られた事業所からすれば、
戸惑いを隠せない部分もあるかもしれませんが、今後の介護人材不足を考えれば今後の方向性はやむを得ない選択かとも思います。
今までのPDCAサイクルに足りないものは
さて、それではPDCAサイクルを上の絵のように回そうとした時、今までのスタイルで回っていくでしょうか?
私はここが生き残る事業所とそうでない事業所の分岐点だと思っています。
このポイントをあげるとすれば、私は「分析力と仮説力」だと考えています。
まず1回サイクルを回してみたが、うまく行かなかった。
その時にカンファレンスでこんな会話をされるでしょう。
「なぜうまく行かなかったか?何が問題だったんだろう」
「やっても無駄だったらやめようか」「次はこんな事をやってみようか」
その時に今までもバイタルや食事量、水分量など過去のデータを参考にされると思いますが、
今までと少し違うのはバーセルインデックスやDBD13など標準化されたデータで他の事業所とも比較できることです。
もし全国平均や地域平均と比べて下であれば、何か理由があるはずです。
ただ、すぐに分かるような原因があれば別ですが(もしあったらそれはそれで問題かも。。。)
そうでないとしたら次は。。。
1.原因の分析
2.改善への仮説
3.数値による結果の検証
この中でも特に2番の「仮説」が苦手なんじゃないかなーと想像しています。
なぜなら、今までの業務のプロセスに無かったからです。
人間は今まで通りやってるのが一番楽だし、安心できる生き物です。
そこを変えていくために頭を使って考えるのは多くの組織でも苦労しているところです。
改善の為に色々なデータを集めて仮説を作りみんなで納得して分担してケアを行っていく。
色んなことを言う人もいるでしょうし、場合によっては仮説が違っていることもあるでしょう。
それでも心を合わせて利用者さんの改善に向けて頑張っていくには、経営者のリーダーシップや法人の理念、行動原則等の支えも必要です。
リーダーの方たちは是非職員さんをフォローしながら改善のサイクルを回していって欲しいと思います。
そしてITはうまく使えば大きな助けになりますし、使い方が悪ければブレーキにもなり得ます。
私たちはITの側からできるだけのサポートをしていきますので、新しい介護のサイクルを一緒に作っていきましょう!
ITサポート 星川